豊島区議会防災・震災対策調査特別委員会の視察で、呉市、倉敷市を訪問しました。

両市は、昨年平成３０年７月の豪雨災害大きな被害を受けた都市です。
呉市は、死傷者50名、家屋の損壊・浸水が3,196棟、倉敷市は、死傷者179名、家屋の損壊・浸水が5,977棟だったほか、土砂災害や道路・水道の損壊などもあり、両都市の被害は甚大です。

豊島区でも先月台風19号があり、大きな被害はありませんでしたが、もう少し台風が強いか滞在時間が長ければ一気に甚大な被害になっていた可能性もあり、両市の震災時対応、そしてその後の対応についてを中心に学ばせて頂きました。

呉市に関しては、災害時、市による災害対策本部とは別に、市議会による災害対策本部が設置されたということが印象的でした。
市議会議員のうち、市内各地区9名の議員で構成され、被害状況の確認や現場職員、被災者からの意見を救い上げ、市議会災害対策本部で取りまとめた後、市災害対策本部へ情報、要望を迅速、スムーズにあげており、豊島区でも活かせる部分であると思いました。

また、避難生活時の住民のケア、ボランティア受け入れ体制や、災害後の復旧スピードの速さも特筆的でした。
長期避難住民の発生に備え、避難区画の仕切り、プールの生活用水化、食中毒・感染症予防の徹底のほか、心のケアにも力をいれた取組を行っています。
また、熊本地震で復興を手助けした、益城町の給水車の受け入れなど、他自治体、県、自衛隊等や、ボランティアの受入れをスムーズに連携・調整できたことも大きいのではないかと思います。

被害報告受付体制も整っており、土砂撤去の受付や罹災証明の発行がスムーズで、1年前の災害ではありますが、リフォームが完了して住み始めている世帯も多いといいます。

倉敷市でも同様に様々な体制が整備されておりますが、なんといっても応急仮設住宅としてトレーラーハウスを活用したことが特筆的です。

トレーラーハウスは、その名の通りトレーラー等でけん引することのできる、タイヤつきプレハブ住宅と呼べるようなもので、海外ではすでに災害時仮設住宅として活用されています。
倉敷市では50台が活用され、このトレーラーハウスを仮設住宅として活用したのは全国初ということだそうですが、新たに仮設住宅用の土地や建築をすぐに調整するのが難しい豊島区にとっても、アイディアのひとつとして参考になりました。

倉敷市では昼食をとる際、被災地区から観光地として著名な倉敷美観地区のままかり亭という場所で頂きました。
震災復興に力を入れており、現在では被災前よりも観光客が増えるほどになっているそうです。

両市とも堤防が破壊された箇所や土砂災害対策の復旧など、万全ではありませんが、今回の被災で得た教訓が市政や市民防災組織にしっかりと受け継がれていく体制づくりがあることそのものが大変素晴らしいと感じた視察となりました。

豊島区とは地形や市域、都市形態が異なるものの、区の防災にも参考となる非常に有意義な時間となりました。
来年度の予算委員を拝命する予定ですので、今回の経験を今後の委員会での審議、提言、予算要望に活かしていきたいと思います。

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